臥床時の身体のポジショニングを行う前には、まず評価をする必要があります。
ポジショニングの評価には多くの項目がありますが、この記事では特に重要な評価項目をご紹介します。
臥床時のポジショニングの評価項目
臥床時のポジショニングの評価項目には、
- 情報収集
- 問診
- 視診
- 触診
などがあり、対象者の背景や姿勢・動作の観察・分析を行います。
そして、必要なポジショニングを考えていきます。
情報収集をする
ポジショニングを行う前に、まずその対象者の情報収集を行う必要があります。
- 疾患名や既往歴は?
- 意識があるか?
- どこまで動けてどこから動けないか?
- 褥瘡や拘縮、疼痛の有無は?
- 禁忌肢位は?
などの情報をカルテや他職種から収集し把握しておくことで、ポジショニングの方法も変わってきます。
問診を行う
ポジショニングを行うには、対象者に問診を行うことも大切です。
「痛いところはないか」
「苦しくないか」
「困っていることはないか」
など問いかけることも大切です。
ポジショニングを行う上では、対象者本人の主観的な意見がとても重要になります。
しかしこの問診は、意識があり認知機能の低下がない対象者の場合にのみ出来る評価です。
意識がなかったり認知機能が著しく低下している対象者の場合には、問診が行えないので下記に書く視診や触診で客観的に推測し判断していかなければなりません。
視診や触診で姿勢・動作の確認をする
臥床時のポジショニングを行うには、視診と触診つまり実際に対象者を見て触って評価し、
- 問題のあるところ
- 今後起こりうる問題
を推測していく必要があります。
視診のポイントは?
視診では、鼻、耳、肩、肘、手、骨盤(上前腸骨棘)、膝、足部をランドマーク(目印)として見て、捻れ・歪み・傾きなどの身体部位の位置関係を確認します。
(上前腸骨棘とは、腸骨前縁の突起部です。前方から腰部分を触ったときに突起している部分を触れることができます。)
それぞれのランドマークを線で結び、
- 左右のランドマークが平行か?
- ベッドや車椅子の座面に対しての距離が左右同じか?
などを確認していきます。
ランドマークは臥床時・坐位時でそれぞれ、
- 臥床時は頭側、足側、左右の真横から
- 坐位時は前方、後方、左右の真横から
見ていきます。
視診で見てわかりにくい場合は、写真を撮って静止画で確認していくとわかりやすいです。
触診のポイントは?
触診では、頚部、背部、腹部、上肢、下肢を左右交互に触っていき筋肉の固さや筋肉の大きさを確認します。
筋肉の固さや筋肉の大きさで左右に差があれば、
- 筋緊張が高い
- 筋力が弱い
などを、実際に対象者に身体を動かしてもらう前にある程度確認することができます。
また、関節を動かして拘縮の有無も確認していきます。
そして、圧がどこかの部位に集中していないかを確認するために、頭部、背部、上肢、臀部、下肢などそれぞれベッドや座面に密着している箇所に手を入れていきます。
この時、専用グローブで行うのが理想です。
専用グローブは摩擦係数が少ないため手を入れやすくなりますし、対象者への負担も軽減されます。
手を入れたときの重みで、どこの部位に圧が集中しているかを確認していきます。