ポジショニング

拘縮や褥瘡が起こりやすい場所は?

人間の身体には、拘縮や褥瘡が起こりやすい部位(好発部位)があります。

健常者が普通に生活していく上では、基本的には拘縮や褥瘡は起こりません。

しかし、怪我や病気などで身体が不自由な人や寝たきりで自分では思うように身体を動かせない人などは、拘縮や褥瘡が起こりやすくなります。

拘縮や褥瘡は、その介護方法によっても憎悪する場合があります。

その為、拘縮や褥瘡が起こらないように、また憎悪しない為にもまずは介護する側が拘縮や褥瘡の起こりやすい箇所を理解しておく必要があります。

拘縮とは

拘縮とは、関節や筋肉が固くなり、関節の動きが制限される状態を指します。拘縮は、関節の可動域が狭くなり、動かしにくくなることが特徴です。拘縮が進行すると、痛みを誘発する可能性もあります。

長期間の安静や筋肉の短縮、関節の炎症などから起こります。

 

拘縮が起こりやすい関節(拘縮好発部位)は?

疾患によって拘縮が起こりやすい関節は異なりますが、一般的には下記になります。

【上肢】

肩関節:内転、内旋
肘関節:屈曲
手関節:掌屈
指関節:屈曲

 

【下肢】

股関節:屈曲、内転
膝関節:屈曲
足関節:底屈

上記の関節のそれぞれの運動方向
に、拘縮が起こりやすくなります。

上肢、下肢の関節ともに曲げる方向に拘縮が進みやすく、伸ばす方向に制限が出ることが多いです。

拘縮が起こるとADLが低下するどころか、圧が集中しやすくなり褥瘡の発生を助長してしまう可能性もあります。

 

褥瘡とは

褥瘡は、長時間同じ体位でいることによって皮膚や皮下組織が圧迫され、血流が障害されることで生じる傷です。床ずれとも呼ばれています。

圧迫以外にも摩擦や湿潤(汗、尿など)でも褥瘡は起こりやすくなります。

症状は痛みや潰瘍などで、皮膚に大きな穴が空くほど進行する可能性もあります。

 

褥瘡が発生しやすい部位(褥瘡好発部位)は?

褥瘡が発生しやすい部位は、基本的には骨突出部(出っ張っている部分)になります。

【背臥位(仰臥位)】

後頭部、肩甲骨部、肘頭部、仙骨部、踵骨部
背臥位(仰臥位)は、仰向けで寝ているときです。

 

【側臥位】

耳介部、肩峰、肋骨部、腸骨部、大転子部、膝関節顆部、外果部、踵骨部
側臥位は、横向きで寝ているときです。

 

【腹臥位】

耳介部、肩峰、乳房、陰部、膝関節部、趾部
腹臥位は、うつ伏せで寝ているときです。

 

【坐位(ギャッジアップ坐位)】

後頭部、肩甲骨部、仙骨部、坐骨部、踵骨部
坐位は、座っているとき、ギャッジアップ坐位は電動式ベッドで頭側を挙上して足を伸ばして座っているときです。

 

【車椅子坐位】

肩甲骨部、坐骨部、尾骨部
車椅子坐位は、車椅子に座っているときです。

 

褥瘡は、基本的に上記のような骨の突出部に圧が長期間集中することで発生しやすくなります。

 

おわりに

拘縮や褥瘡は二次的機能障害といわれており、介護・医療従事者の協力で防ぐことができる機能障害です。

逆をいえば、拘縮や褥瘡が頻発していれば介護・医療従事者に責任があることになります。

ポジショニングを行うことで、この拘縮や褥瘡などの二次的機能障害を減少させることができます。

身体のポジショニングの目的とは?医療・介護の現場で働いていると、「ポジショニング」という言葉を耳にすることがあります。 ポジショニングは身体の不自由な方にとって、...

一度起こってしまうと拘縮は改善するのが難しく、褥瘡は治癒するまでに相当な時間がかかります。

ポジショニングは拘縮や褥瘡のように、問題が起こってから行ってもすでに遅いのです。

問題が起こっていないからポジショニングを行わなくて良いとは決して考えずに、今後起こりうる可能性を考えてポジショニングを行っていかなければなりません。

ABOUT ME
たろ
【資格】理学療法士(15年)、介護職員初任者研修、福祉住環境コーディネーター2級、認知症ライフパートナー 【職歴】大手工場、急性期・回復期病院、デイサービス、老健(非常勤)、訪問リハビリ(非常勤) 【講師実績】イオンにて介護予防の相談会、介護予防対象者向け体操講義、介護福祉士向けの介護講義

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