身体のポジショニングは、その対象者に100%正解のポジショニングをつくることは難しいことです。
それには技術・知識・経験・道具が必要になるからです。
しかし反対に、ダメな(良くない)ポジショニングをつくることは簡単ですし発見しやすいのです。
ダメなポジショニングになる原因
私が今まで働いてきた介護現場で多かった、介護者のダメなポジショニングになる原因をご紹介します。
ポジショニングの目的を理解していない
まず私が感じたことは、ポジショニングの目的を理解していない介護者がいるということです。
介護者がポジショニングの目的を理解していなければ、写真でポジショニング例を作っていたとしても、クッションの入れる位置などを写真通りに見よう見真似でポジショニングをしたところで結局ズレが生じてしまいます。
その為、意図しない位置にクッションが入ってしまい結果的に拘縮や褥瘡を助長するようなポジショニングとなってしまっている場合があります。
例として、仙骨部の圧を分散させるためにポジショニングクッションを入れるようにしていても、その目的を理解していない介護者が見よう見真似でポジショニングを行えばクッションの入れる位置が少しズレて、余計に仙骨部に圧がかかってしまっているということがあります。
つまりポジショニングの目的を理解していない介護者と、その目的を理解している介護者のポジショニングでは、見た目こそ似てはいますが内容が全く異なっていることが多いのです。
ポジショニングの必要性を理解していない
次に私が感じたことは、ポジショニングの必要性を理解していない介護者がいるということです。
ポジショニングを行わないからといって、すぐに拘縮や褥瘡が発生するわけではありません。
その為ポジショニングを行うことは、介護者によっては優先順位が低くなってしまっている場合があります。
人員が少ない介護施設では特に、時間に追われる職員が多く、優先順位を低く考えているポジショニングは二の次・三の次になってしまい、結局時間が無くてポジショニングが出来ていないということが起こります。
ポジショニングは毎日継続することが大切なので、時間があるときだけポジショニングを行い、時間が無いときにはポジショニングを行わないということになってしまってはいけません。
ポジショニングを行わなければ絶対に、「拘縮が進行する」、「褥瘡が発生する」などと、常に危機感を持ちその必要性を感じながらポジショニングを行うことが大切です。
おわりに
ポジショニングは、「本当にこの方法で合っているのか」というようになかなか正解を導きにくいものでもあります。
ポジショニングの方法がわからない場合には、半信半疑のままポジショニングを行わずに先輩や専門職に相談して、目的と必要性を理解した上でポジショニングを行いましょう。
万が一、拘縮や褥瘡が発生してしまえば、自分たちの責任にもなりえてしまうのです。