ポジショニング

ナーセントパットの使い方とは?

自分で身体を動かせない人に対して、ポジショニングや体位交換を行うときにクッションは必需品となります。

クッションといってもたくさんの種類がありますが、ポジショニングや体位交換を行うときに使うクッションは目的に合ったものを使わないと効果が出ないどころか逆効果となってしまう可能性もあります。

最も良いとされるクッションは、やはりポジショニングや体位交換専用に作られている福祉用具のクッションです。

福祉用具のクッションのなかでもたくさんの種類があり、それぞれのクッションで大きさや形状、中身などが異なります。

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今回は福祉用具のクッションのなかでも、医療・福祉施設で特によく使われている「ナーセントパット」の使い方を紹介していきます。

ナーセントパットの使い方とは?

ナーセントパットを使う目的は、良肢位保持や体圧分散などを行うことにあります。
ナーセントパットの使い方は、その対象者によって様々ですが今回は特に多い使い方をご紹介します。

ナーセントパットとは?

ナーセントパットとは、アイ・ソネックス株式会社で開発されたポジショニングや体位交換専用のクッションです。

三角の形をしており、素材は低反発性高密度特殊ウレタンです。

ナーセントパットを使いポジショニングや体位交換を行うことで、良肢位保持や体圧分散などの効果が得やすくなります。

体位交換で使う

寝ているときに自分で身体を動かして寝返りがうてない人は、介護者が体位交換をして寝返りを手伝う必要があります。

基本的には、左側臥位(左横向き)・背臥位(仰向け)・右側臥位(右横向き)の3方向に体位交換をします。

ただ側臥位の場合、完全な横向きになると、下側の腸骨や大転子部に圧が大きくかかってしまいます。
その為、腸骨や大転子部の褥瘡頻発者には半側臥位が推奨されています。

半側臥位とは、ベッドに対して背中の傾きが45°前後になっている肢位のことです。
つまり半分側臥位です。

この半側臥位で肢位を保持したい場合に、ナーセントパットを使うことが多いです。

体位交換の場合、基本的には骨盤部分にナーセントパットを入れて仙骨部の圧を分散させることが多いです。

坐位時の良肢位保持で使う

坐位時には、

  • 骨盤が前方にズレて滑り落ちそうになる
  • 体幹が側方に傾く

などといった姿勢で座っている人をよく見かけます。

そういった姿勢で長期間いれば、転落の危険があるだけでなく、褥瘡や拘縮が出来やすく、またそのような姿勢では日常動作にも制限が出る可能性が高いです。

 

体幹が傾いてることで、

  • ご飯が食べにくい
  • 立ち上がりにくい

などといったことになってしまいます。

そういった場合には、姿勢の改善が大切です。
このような姿勢の改善に、ナーセントパットを使うことがあります。

骨盤の前方へのズレを抑制する

骨盤が前方にズレる人は、放っておくと転落の危険があります。
また、ズレることで摩擦が発生し、褥瘡が発生しやすくなってしまいます。

骨盤が前方にズレる人に対しては、座面にナーセントパットを使います。(ナーセントパットの鋭角が臀部側、鈍角が膝側)

ただ、これだけではナーセントパットごと滑り落ちる可能性があるので滑り止めを敷く、もしくはナーセントパットの上に座面クッションを敷くほうが滑り落ちにくくなります。

体幹の傾きを抑制する

体幹が左右どちらかに傾いて座っている人を、非常に多く見かけます。
この体幹の傾きにもナーセントパットを使用して、姿勢を改善することが出来ます。(ナーセントパットの鋭角を背中の中心側に)

しかし体幹の傾きには様々な原因があるので、単に体幹が傾いているからといって評価を行わずにクッションなどで抑制してはいけません。

例えば、長期間の坐位で右の臀部が痛いから意図的に左に体幹を傾けている人がいます。そのような人の体幹の左への傾きをクッションなどで抑制すると、余計に右臀部が痛くなってしまいます。

  • 臀部が痛くて体幹が傾く人には、座面クッションを厚くする
  • 低反発座面クッションを使用する
  • 坐位時間を少なくする

などといったことも考えていかなければなりません。

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たろ
【資格】理学療法士(12年)、ホームヘルパー2級、福祉住環境コーディネーター2級、認知症ライフパートナー 【職歴】大手工場、急性期・回復期病院、デイサービス、特養、老健(非常勤)、訪問リハビリ(非常勤) 【講師実績】イオンにて介護予防の相談会、介護予防対象者向け体操講義、介護福祉士向けの介護講義

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