街を歩いていても、下肢がO脚になっている方を見かけることはよくあります。特に高齢の女性ではO脚になっている方が非常に多いです。
O脚になっている方は、知らず知らずのうちに変形性膝関節症が進行してしまっている可能性があります。
今回は、変形性膝関節症の予防や改善に効果のある運動をご紹介したいと思います。
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変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症(膝OA)とは、膝関節の軟骨がすり減り、痛み・腫れ・変形などを引き起こす病気です。
変形性関節症は英語の「Osteoarthritis」の略語から「OA(オーエー)」と呼ばれることもあります。そのため、変形性膝関節症では「膝OA」とも呼ばれています。
変形性膝関節症の痛みは特に、歩き始めなどの動作の開始時に増強することが多いです。(starting pain スターティングペイン)
初期では立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれますが、正座や階段の昇降が困難となり(中期)、末期になると、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝がピンと伸びず歩行が困難になります。
出典元:変形性膝関節症|公益社団法人日本整形外科学会(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html)
変形性膝関節症は、高齢の女性で特に多い病気で、下肢はO脚に変形してきます。症状が進行してくると膝の関節を曲げ伸ばししたときに、「ゴリゴリ」と音が出ることがあります。(軋轢音:あつれきおん)
変形性膝関節症の原因と治療法は?
変形性膝関節症になる原因は、老化によるものが多いですが、肥満や過度の運動で膝へ負担がかかっていたり、骨折などの外傷後に起こる場合もあります。
治療法としては、痛み止め薬・湿布・注射などの保存療法と、症状が強い場合には手術療法が選択されることがあります。
変形性膝関節症のステージ(重症度)分類は?
変形性膝関節症のステージ分類には、Kellgren-Lawrence(シェルグレンローレンス)分類が使われことが多いです。
Kellgren-Lawrence分類とは、X線画像から症状の重症度を評価するスケールです。
5つのグレードからなり、グレード0が正常でグレード4が最も重症化していることになります。
変形性膝関節症に効果的な運動とは?
変形性膝関節症になってからも運動は重要です。今回は、変形性膝関節症に特に効果があるとされている2つの運動の方法をご紹介します。
変形性膝関節症になる人は、太ももの前側にある筋肉の大腿四頭筋が衰えている場合が多いです。大腿四頭筋を鍛えることで、膝関節の安定性を向上し負担の軽減を行い症状の改善を図ります。
パテラセッティング
パテラ(patella)は膝蓋骨のことです。
パテラセッティングの運動方法は、仰向けに寝た状態で(膝下に丸めたタオルやクッションなどを入れておく)、
- つま先を上に曲げる(足関節背屈)
- 膝裏でタオルを押すように力を入れる
- 力を入れたまま5秒~10秒止めて保持する
この運動を20回程度行います。20回程度を1セットとして1日に2~3セットを目標に行います。
SLR運動
SLRとは、「Straight leg raise(下肢伸展挙上)」の略語になります。
SLR運動の方法は、仰向けに寝た状態で、
- 片側下肢の膝を立てる
- 反対側の下肢を10cm程度挙上する(膝は出来るだけ伸ばしたまま)
- 挙上したまま10秒程度保持する
この運動を20回程度行います。パテラセッティングと同様に寝た状態で出来る運動なので、セットで行いやすいです。
おわりに
今回ご紹介した運動は、変形性膝関節症の症状の改善だけでなく、予防を目的とした方にも効果的な運動です。
運動の実施回数などは、その対象者や症状によって多少異なります。膝の痛みが強いときには、無理をせずに運動を控えることも大切です。