患者さんの足を見ていると、足の親指が人差し指のほうに曲がってしまっている人がたまにいます。なかには、親指と人差し指が重なって拘縮してしまっている人もいます。
このような状態を外反母趾と言います。外反母趾は特に高齢の女性で多く見られます。
外反母趾とは
外反母趾は圧倒的に、女性に多い疾患です。
特徴的な症状は足の母指(親指・母趾)の先が人差し指(第2趾)のほうに「くの字」に曲がり、つけ根の関節の内側の突き出したところが痛みます。その突出部が靴に当たって炎症を起こして、ひどくなると靴を履いていなくても痛むようになります。
出典元:外反母趾|公益社団法人日本整形外科学会(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/hallux_valgus.html)
指のつけ根の関節は、中足趾節間関節(MTP関節)と言われる関節です。
外反母趾になると痛みが出るだけでなく、足の指を上手く動かせなくなったり、体重をのせにくくなることで、結果的に動作能力やADLの低下に繋がる原因にもなります。
ひどい場合には、手術が必要になる場合もあります。
外反母趾の原因は
外反母趾になる原因は、関節リウマチなどの疾患から起因するものと、日常生活から起因するものがほとんどと言われています。
日常生活で足の指を動かす習慣がなければ、足の指の筋力は低下していきます。この筋力低下が外反母趾になりやすい原因となります。
実際、日常生活で手の指は良く使いますが、足の指は意識して使うことがほとんどありません。
日常生活で意識して足の指を動かすことはほとんどないのですが、実は立っているときや歩くときなどには無意識に足の指を使っています。
- 後方重心で立っている
- 歩幅が小さい
- すり足
- 外股 など
上記のような姿勢や動作をおこなっていると、足の指の筋肉を知らず知らずのうちに使わなくなってしまうので注意が必要です。
また、日常生活のなかで靴の形や大きさも外反母趾になりやすい重要な因子です。
- ヒールが高い
- サイズが小さい
- つま先部分が狭い など
上記のような靴を長期間履いていると、足の指がくっついた状態が続き、そのまま指の関節が変形してしまうことがあります。
外反母趾の予防法とは
外反母趾を予防するには、日頃から足の指を動かす(使う)習慣をつけることが大切です。
歩容を改善する
歩くときに歩幅が小さくすり足になっている方などは、足の指を日頃から使えていない可能性があります。
日頃から歩くときに足の指を使うには、歩容の改善が大切です。
- 歩幅をひろげる
- 足を上げて歩く
- つま先を前にまっすぐ向ける など
上記のことを少しでも意識して歩くことが、大切です。
サイズの合った靴を履く
サイズが合っていない靴を履くのは、痛みを誘発するだけでなく外反母趾を助長してしまいます。
- ヒールを低くする
- サイズが小さ過ぎないようにする
- サイズが大き過ぎないようにする
- つま先部分を広くする など
上記の事柄は外反母趾の予防をするためには、特に大切なことです。
足指の運動をする
足指の筋力を維持するためには、日常生活以外でも足指を動かす習慣をつけておくことが大切です。
簡単な足指の運動としては、
- 足指でグーチョキパーをする
- タオルギャザー
- 足指でビー玉つかみ など
足指の運動は外反母趾だけでなく、扁平足の予防にも効果的です。