老人ホームなどでいる利用者さんのなかには、座っているときに身体が傾いている人がいます。
身体の傾きを正さずに放っておくと、その傾きが習慣になり姿勢や動作にまで影響を及ぼす可能性があります。また、車椅子からの転落事故にまで繋がることもあります。
老人ホームなどでは、施設にもよりますが椅子ではなく車椅子に座っている時間が長くなります。
病院や老人ホームの車椅子座位
病院や老人ホームなどでは、日中のほとんどを車椅子で過ごされる利用者さんを結構見かけます。
座っている姿勢を見てみると、身体が左右どちらかに傾いていたり、臀部が前方にずれていることがよくあります。
車椅子座位時の身体の傾きの原因は?
今回は、車椅子座位時の身体の傾きについて、最もありがちな2つの原因に着目してご紹介していきます。
長時間の座位
車椅子に座っているときの身体の傾きの原因には、様々なことが考えられます。
利用者さんの病気や怪我、今までの生活習慣などによって姿勢は変わります。そして、不適合な車椅子の使用によっても不良姿勢が誘発されます。
しかし、車椅子の身体の傾きの原因には上記の事柄以外に着目すべき点があります。
それは、「座っている時間が長い」ことです。どのような人でも長時間同じ姿勢で座っていることは、非常にしんどいことです。
元気で自由に身体を動かせる人であれば、
- 椅子から立ち上がる
- 背もたれにもたれかかる
- 前のめりになる
- 臀部の位置を変える
- 脚を組む など
体勢を変えて、疲労の蓄積や同部位への体圧の集中を軽減させることが出来ます。
ですが、高齢者や身体が不自由な人には、上記のように身体を自由に動かすことが出来ません。そのため背部や臀部への体圧が集中し、痛みが出てきてしまいます。この痛みを避けるために身体が傾いている人はたくさんいます。
座っている時間が長く、座っているときだけ身体が傾いてくるような人がいれば、臥床時間をつくることも大切です。
座面に何も敷いていない
車椅子はもともと長時間座るための椅子ではなく、移動するための椅子としてつくられています。そのため座面(シート)は固く、クッション性がないものが多いです。
その座面が固い車椅子は通常の椅子に比べて座り心地が悪く、長時間座っていると疲労や痛みが出やすくなってしまいます。
とくに仙骨・坐骨・尾骨などは固い座面で圧迫されるため、同じ姿勢でいることが非常につらくなってきます。このような痛みを避けるために、身体を傾けたり、臀部をずらしている人は非常に多く見られます。
そのため、車椅子の座面には低反発の座面クッションなどを可能な限り敷いておきたいところです。
おわりに
車椅子座位の不良姿勢には様々な原因が考えられますが、まず気にしておかなければいけないことは、
- 座位時間が長くないか
- 座面が固くないか
この2つを改善するだけでも、座位姿勢が大幅に良くなることがあります。