医療知識

初心者必見!ロフストランドクラッチの安全な使い方を解説

はじめに

歩行補助用具としての杖は、高齢者やリハビリ中の方にとって非常に重要なアイテムです。その中でも、「ロフストランドクラッチ」は、前腕を支えるカフとグリップを備えた独自の設計により、特に握力が弱い方や麻痺のある方に適しています。

このプラットホームクラッチとも呼ばれる杖は、体重をしっかり支持し、歩行時の安定性を高めることが特徴です。この記事では、ロフストランドクラッチの使い方を中心に、その選び方や注意点について詳しく解説していきます。

これからロフストランドクラッチを使い始める方や、使い方に不安がある方は、ぜひ参考にしてください。

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ロフストランドクラッチとは?

ロフストランドクラッチは、歩行をサポートするための特別な杖であり、一般的には肘の近くまで伸びた構造を持っています。この種類のクラッチは、利用者が握力に頼らずに体を支えることができるように設計されています。そのため、腕全体で体重を支えることができ、特に麻痺がある人や握力が弱い人に適しています。また、体重を2点で支える形になるため、安定性が非常に高いのが特徴です。

基本構造と特徴

ロフストランドクラッチは、下部に杖のような支えがあり、上部には前腕を挿入するためのカフが付いています。このカフは、腕の位置を安定させ、それによりグリップや握力に問題がある場合でも、安全に体を支えることが可能です。一般的にカナディアン・クラッチやプラットホームクラッチとも呼ばれることがあり、特別な状況に応じて、様々な形状や高さに調整ができるのもこの杖の大きな特徴です。

適しているユーザー

ロフストランドクラッチは、以下のようなユーザーに非常に適しています。まず、握力が低下していることによって通常の杖の使用が困難な人々に最適です。特に、麻痺を抱えている方、リハビリ中の方、高齢者、あるいは筋力が低下している方々が安全に使用するために設計されています。また、長時間にわたって安定した支えが必要な場合にも、このクラッチのメリットが発揮されます。こうした特徴から、様々な環境下で安心して使用することができる歩行補助具として、広く使用されています。

ロフストランドクラッチの選び方

体の状況に応じた選び方

ロフストランドクラッチは、歩行を助けるために特別に設計された杖です。このクラッチは腕と手で体重を支える設計になっているため、握力が弱い方にも適しています。また、麻痺がある方や、通常の杖よりも安定性を求める方にも向いています。選ぶ際には、体の状況や歩行の目的に応じて、どの程度のサポートが必要なのかを考慮することが重要です。歩行の目的がリハビリであれば、安定性の高いものを選ぶと良いでしょう。

サイズの調整方法

ロフストランドクラッチを正しく使うためには、体に合ったサイズを選ぶことが必要です。サイズ調整の目安として、肘が約30度に曲がるようにし、カフが前腕の適切な位置に収まるように調整します。具体的には、脚の小指の外側から約15cmのところにクラッチを立て、肘をわずかに曲げた状態でカフを装着します。この時、カフが前腕をしっかりと支える位置にあることが望ましいです。適切なサイズ調整により、より自然な歩行が可能となり、負担が軽減されます。

ロフストランドクラッチの正しい使い方

正しい握り方と持ち方

ロフストランドクラッチを使用する際の基本として、正しい握り方と持ち方が重要です。グリップはしっかりと握りつつ、手首をリラックスさせることがポイントです。腕に負担がかからないよう、前腕をカフにしっかりと入れ、適度な締まり具合を確認してください。グリップとカフの間でしっかりと体重を支えることで、安定した歩行を可能にします。初めて使う人は、まず自宅内で練習を重ね、グリップの慣れを確認しましょう。

歩行準備

ロフストランドクラッチを使った安全な歩行ステップを実行するには、いくつかのポイントに注意が必要です。まず、クラッチを置く位置は体の真下ではなく、少し前方に出すようにします。体重をクラッチの上にゆっくりと移動させ、支えることで安定感を確保します。また、杖を使う際に転倒のリスクを軽減するため、一定の歩幅を維持し、急な動作は避けるよう心掛けましょう。自然な歩行リズムを維持することが大切です。

安全な歩行リズム

杖を使用した歩行リズムには2点1点歩行、3動作歩行があります。この方法はロフストランドクラッチも同様です。

2点1点歩行と3動作歩行については下記記事に詳しく書いているのでご参考ください。

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両手にロフストランドクラッチを持って歩く場合には、右手、左足、左手、右足といった順序に出していくのが一般的です。

使用時の注意点

転倒防止策

ロフストランドクラッチを使用する際には、転倒のリスクを最小限に抑えるためのいくつかのポイントを押さえておくことが重要です。まず、ロフストランドクラッチは、前腕カフとグリップを用いて体重を支えるため、正しい握り方を常に意識しましょう。グリップをしっかりと握ることで、手のひらだけでなく前腕でも支持を安定させ、歩行時のバランスを向上させます。

また、濡れた地面や不均一な表面では特に注意が必要であり、常に足元を確認しながら慎重に歩行するよう心掛けることが大切です。さらに、ロフストランドクラッチの先端に適した滑り止めのキャップを取り付けることで、使用をサポートします。定期的な点検とキャップの交換も、安全使用に大切な要素です。

長時間使用の影響と対処法

ロフストランドクラッチを長時間使用する際には、腕や肩への負担が問題になることがあります。特に握力が弱い場合や、長時間にわたって使用する人々にとって、この負担は大きな障壁となり得ます。このような場合、定期的に休憩を挟み、筋肉や関節の疲労を軽減することが重要です。

さらに、適切なストレッチを行うことも効果的です。前腕や肩の筋肉をほぐし、使いすぎによる痛みを緩和するために、簡単なストレッチを毎日のルーティーンに取り入れましょう。必要に応じて、理学療法士などの専門家に相談し、最適なエクササイズやリハビリプランを立てることもおすすめします。長時間の使用による影響を最小限に抑えるため、自分自身の体に適した対策を講じることが大切です。

ロフストランドクラッチの利点と欠点

メリット

ロフストランドクラッチは、ユーザーの歩行をしっかりと支えるために設計されています。まず、その特徴として上部にあるカフにより、前腕での支持が可能である点が挙げられます。これにより、手や手首だけでなく、腕全体を使って体を支えることができ、握力が弱い人や麻痺がある人にも適した杖です。さらに、カフによる固定とグリップ部の設計により、より安定した歩行が可能になります。その結果、転倒のリスクを減少させ、安心感を提供します。また、ロフストランドクラッチは、片手で安心して使用できるため、使用者の自由度が高まります。軽量で持ち運びが容易なため、日常生活に非常に役立ちます。

デメリット

一方で、ロフストランドクラッチにはいくつかの欠点も存在します。まず、カフにより腕が固定されるため、転倒時の緊急回避動作が取りづらくなる可能性があります。腕の固定がしっかりとしているため、不意の転倒時には腕が抜けにくく、さらなる安全対策が必要です。また、使用者の体型や腕の長さに合わせたサイズ調整が十分に行われない場合、かえって使用者にとって不自然な姿勢を生むことがあります。これにより、長時間の使用時には腕や肩に過度な負担がかかり、痛みを感じることになるかもしれません。それに加え、カフのフィット感や握りの部分が合わない場合、快適性が損なわれることもあります。このように、ロフストランドクラッチを選ぶ際は、その使い方や個々の体の状態を良く理解し、適切な調整が必要です。

まとめ

ロフストランドクラッチは、握力が弱い方や麻痺がある方にとって非常に有用な歩行補助具です。その基本的な特徴である前腕を通すカフにより、体重を均等に支えることが可能で、高い安定性を提供します。この特性は、特に安全性を求める使う人にとって魅力です。

クラッチの使い方に関しては、正しい握り方や持ち方を学び、適切なサイズ調整を行うことが重要です。また、使用する際の転倒防止策や長時間使用による影響を理解し、対処法を心得ておくことで、安心して日常生活を過ごすことができます。

一方で、ロフストランドクラッチにもデメリットが存在します。装着に多少の慣れが必要であったり、サイズ調整が不適切だと痛みを伴うことがあります。そのため、自分の体の状況に応じた選び方を心掛けることが重要です。

最終的に、ロフストランドクラッチの適切な選択と使用は、移動の自立を促進し、生活の質を向上させる助けとなります。専門家のアドバイスを受けながら、自身に最適な杖を選ぶことが、健康的で安全な日常生活を維持するための鍵となります。社会的にも経済的にも、早期にクラッチを導入することが多くの人々にとってベネフィットとなるでしょう。

ABOUT ME
たろ
【資格】理学療法士(15年)、介護職員初任者研修、福祉住環境コーディネーター2級、認知症ライフパートナー 【職歴】大手工場、急性期・回復期病院、デイサービス、老健(非常勤)、訪問リハビリ(非常勤) 【講師実績】イオンにて介護予防の相談会、介護予防対象者向け体操講義、介護福祉士向けの介護講義