運動会や体育の授業、友だちとのかけっこで「もっと速く走れたらいいな」と思う子どもは多いものです。
けれど、速く走るために特別な才能が必要かというと、そうではありません。正しいフォーム、ちょっとした練習、そして楽しく続ける工夫があれば、大きく変わる可能性があります。
この記事では、「速く走るコツ 子供」というキーワードで検索しているあなたに向けて、幼児~小学生が実践できる具体的方法、親がサポートするポイント、よくある間違いなどをまとめました。
読み終わる頃には、「うちの子、前よりグンと速くなったかも!」と感じられるヒントがつかめるはずです。
なぜ子どもの走るスピードに差が出るのか
発育・発達の個人差
骨格の発達・筋力・神経系(足を素早く動かす反応など)の発育タイミングは子どもによって異なります。経験や外遊びの量が少ないと動きの習慣がつきにくいことも。
基本フォームの癖
姿勢が猫背、足が地面に引きずるような動き、腕振りが左右にブレる、足の前に出す動きが小さい、などフォームのちょっとした癖がスピードを落としてしまうことがあります。
走る経験と環境
普段から体を動かす遊びが少ない子どもは、スピードやリズム感、足の回転力など「走る要素」の筋肉・神経が未発達なこともあります。
これらの要因を知ったうえで、「何を直せばいいか」が見えてきます。
速く走るための基本フォーム
フォームは、速く走るための土台です。正しいフォームを身につけることで、力を無駄なく伝え、疲れにくくなります。
姿勢をまっすぐ
背筋を伸ばし、あごを引き、顔は正面を向ける。猫背や腰が反りすぎると、体の軸がぶれて前進力が減ります。
軽く前傾する
走り始めるときや加速期には上体を少し前に倒し、重心を前に保ちます。スタートダッシュで特に効果的です。
腕の振り方
肘をおよそ90度に曲げ、前後方向に真っ直ぐ振ります。肩や手に力を入れすぎないようにします。左右にブレないように。腕振りがきれいになるとリズムが整い、走るスピード向上に直結します。
膝・足の使い方
「数字の4」の形を意識する(地面に着いている足は軽く伸ばし、浮いている足の膝をしっかり前に上げる)といった動きをつくります。もも上げを意識することで歩幅・脚の回転力がアップになります。
接地(足が地面に触れる時間)を短くする
できるだけ「ポンポン」「パッ」と地面を捉えて離します。蹴る力を強く、素早く行います。地面を強く蹴る感覚を養うことが大切です。
スタートダッシュのコツ
スタートは短距離走やかけっこで非常に重要。最初の0~10mでの加速が、その後の走りに大きな影響を与えます。
構え(スタート時のポジション)
前足を前に出し後ろ足でしっかり蹴る準備をします。後ろ足のかかとを上げ、体重を前足中心ではなく後足も使えるようにします。
幼児~低学年なら、「笛が鳴ったらこう動く」という合図の練習を繰り返します。
反応速度を高める
スタートの合図に対する反応を速くすることで、出遅れを防ぎます。親や先生が合図を出して「よーい、ドン!」の練習をします。
加速の段階をつける
最初から全力で出るのではなく、徐々にスピードを上げていきます。
「力をセーブしてスタート→徐々に加速→トップスピードへ」という意識をします。
スタート直後に力を入れ過ぎると、後半バテてしまうことがあります。
腕振り・足さばきの改善ポイント
前章のフォームと重なりますが、腕振りや足の動きは速さに直結しやすく、改善しやすい部分でもあります。
腕は体の近くを通るように前後に振る
横に大きく振ると体がブレます。肘を軽く曲げてスムーズに動かします。
足の前に出す動き(腿の上げ・踏み出し)
ももを高く上げ、足を前に大きく出すことが大切です。歩幅を大きくすることを意識すると同時に、足がついてから蹴る動作を強くします。
つま先や足首の使い方
つま先を外に向けすぎず、まっすぐに足を出します。
地面をしっかりと捉えて蹴る(親指の付け根あたりで蹴る意識)ことが重要です。
体力・筋力の育て方
フォームだけではなく、筋力・瞬発力・持久力など、走るための身体能力を育てることも大切です。
瞬発力トレーニング
- 坂道ダッシュ:少し傾斜がある坂を使ってダッシュすることで、足腰・蹴る力が強くなる。
- ジャンプ運動:両足ジャンプ、大股ジャンプ、ケンケンパなど。足のバネを強くする。
持久力・体力アップ
- 短めの距離を繰り返す(100mや50mを全力、休憩を入れて何本か行う)
- 遊びの中で走る時間を増やす(鬼ごっこ、サッカーなど)
- 毎日の生活習慣:よく歩く、階段を使う、十分な睡眠、栄養バランスの良い食事。これが基礎体力を支える。
柔軟性・可動域を保つ
- ストレッチ:特に股関節・もも前後・ふくらはぎなどをこまめに伸ばす
- 動的ストレッチ:動きながら筋肉を伸ばすウォーミングアップで可動域アップ。走る前に。
遊び・ゲームを取り入れた練習メニュー
子どもが続けやすいように、遊び感覚を取り入れると効果が上がります。
鬼ごっこ:方向転換・全力スプリントが自然と出る。短時間・頻回に行う。
スキップ:腿を高く上げる感覚・リズム感を養う。音楽に合わせたり、リズム指導を入れる。
ミニハードル:足のリズム・足の上げ方・リズムよく走る練習に良い。間隔を一定に、無理のない高さで。
スタートダッシュゲーム:合図でスタート → 誰が一番かを競う。出遅れない反応を訓練。
障害物走り:小さな障害物をまたぐ・回る動きを取り入れる。バランス力と瞬発力強化に良い。
これらを取り入れることで、「練習」という感じを薄め、楽しみながら走る力が伸びます。
モチベーションを維持する心構えと声かけ
走る練習は、技術と体力の両方を育むことが必要で、成果が出るまで時間がかかることもあります。だからこそ、モチベーションの維持が非常に重要です。
小さな成功体験を積む
最初はタイムではなく、フォームが整った、スタートがうまくできた、最後まで走り切れた、などを誉めます。
「できた!」を感じさせる工夫
タイム計測をして少し前よりよくなったことを見えるようにする、動画で自分のフォームを見せるなどを行います。
親・指導者の態度
叱るより励ます、できない部分ではなく良くなった部分を見つけて誉めます。楽しく安全に取り組める環境を作ります。
よくある間違いとその修正方法
子どもが速くなりたがるあまりに陥りやすいミスと、その直し方をまとめます。
姿勢が後ろに反りすぎ:猫背 コアの弱さ・意識がない 。鏡を使ってチェック、姿勢を正す「立ちポーズ練習」をする。
腕振りが小さい・左右ブレがある:腕に力を入れすぎて肩が上がる、意識が前後ではなく横に振っている。肘の角度・振る方向を確認、親がお手本を見せる、腕振りだけで歩く練習など。
スタートで力みすぎる:緊張・やる気のあまりフォームが固くなる。リラックスする練習を入れる、「よーいドン」の合図を少なめにして慣らす。
歩幅を無理に広げすぎる:力や柔軟性が伴っていない・疲れやすい。まずは自然な歩幅→徐々に広げる、もも上げなどで可動域を広げる練習をする。
不十分な靴・不適切な靴:大きすぎる・滑る・グリップの悪い靴は走りを妨げる。足のサイズ・幅・靴底のグリップをチェックする。専門店で相談するなど。
練習の頻度・タイミング
どんなに良い方法を知っていても、練習の頻度やタイミングが悪いと効果が出にくいです。
短時間を頻繁に
1回に長時間やるよりも、10〜15分の短時間を週に3〜5回など、ちょっとずつ続ける方が習慣になりやすいです。
ウォーミングアップとクールダウンを入れる
ケガ防止、体の準備・回復のために行います。
練習のタイミングを決める
朝か夕方、公園で遊ぶときの前後など、決まった時間帯を設けると習慣化しやすくなります。
本番前の調整
運動会などの前はフォームの確認・練習量の調整をして、疲れを残さないようにします。
まとめ:今日からできること
ここまで紹介してきたコツをシンプルにまとめると、以下の3つが今日から始められる大事なポイントです。
1. フォームを整えること — 姿勢・腕振り・足の上げ・接地を意識して「きれいな走り」を目指す。
2. 遊び感覚で続けること — 鬼ごっこ、ミニハードル、坂道ダッシュなど、楽しい活動を通して自然にスピードがアップする練習をする。
3. 温かいサポート — 子どもの「速くなりたい気持ち」を尊重し、小さな進歩をしっかり褒める。やる気を引き出す声かけ・環境づくり。

