【理学療法士が解説】立ち上がり動作に必要な筋肉とは?スムーズに立つための筋トレ&コツまとめ
なぜ「立ち上がり動作」が大切なのか
日常生活において、椅子や床から立ち上がるという基本的な動作は、意外と複雑で、多くの筋肉が協調して働いています。
この動作がスムーズに行えるかどうかは、転倒リスクや疲労感、さらには生活の質(QOL)にも関わる重要な要素です。
特に加齢や筋力低下、関節の硬さが影響し始めると、単なる“立ち上がる”動作でさえ負担になります。
ここでは「立ち上がり動作」と「筋肉」の観点から、そのメカニズムと改善方法を詳しく解説します。
立ち上がりに関わる主要な筋肉
大腿四頭筋(特に内側広筋・大腿直筋)
立ち上がり動作で、最大の負荷がかかるのは膝を伸ばす動作を担う大腿四頭筋です。
中でも内側広筋と大腿直筋は、重心や姿勢を安定させる役割が明らかになっています。
大阪電気通信大学の研究では、実際には大殿筋よりもこれらの筋が主役だとされています。
また、大腿四頭筋への負荷は、立ち上がる際に座面からお尻が離れた瞬間がピークで、膝が伸びるほど負担は軽くなります。
大殿筋
大殿筋は股関節の伸展に関与し、体幹を起こす力をサポートしてくれます。
特にフェーズ2以降、体の軸を支えながら股関節を押し出すために重要です。
前脛骨筋
実は、立ち上がりの初期、特に臀部が離れる直前に前脛骨筋が最も強く活動します。
足部をしっかり固定し、重心を前へ移動させるために不可欠な筋肉です。
インナーマッスル(腸腰筋・骨盤底筋群など)
体幹の安定には、腸腰筋や骨盤底筋群、さらにはお腹の深層筋であるインナーマッスルが鍵です。
これらをうまく使えないと、下肢の筋肉に過剰な負担がかかり、手を使わないと立ち上がれない状況に陥ります。
脊柱起立筋
脊柱起立筋は前傾姿勢を制御しながら体幹を支える背中の筋肉です。
発声(例:掛け声「どっこいしょ」)によって腹横筋が刺激され、体幹が安定することで脊柱起立筋への負担が軽減されるという効果も報告されています 。
動作フェーズごとの筋活動メカニズム
立ち上がり動作は大きく3段階に分けられます。
フェーズ1
体幹前傾 → 支持基底面の移動
最初に体幹を前に傾け、重心を大腿部から足部へ移す段階です。
縫工筋や大腿直筋が前傾のきっかけを作り、脊柱起立筋が制御役として働きます。
フェーズ2
臀部離床
臀部が浮くとき、前脛骨筋が足首を固定し、大腿四頭筋へと負荷をスムーズに移行させることが重要です。
ここで大殿筋がブレーキ役を担いながら協調します。
フェーズ3
重心を上へ引き上げる
股関節・膝関節・足関節を協調して伸ばし、床を押し上げるように重心を上に移動します。
この時、大殿筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋が連動して働きます。
さらに、腓腹筋・ヒラメ筋は遠心性収縮で制動をサポートします。
立ち上がり動作を楽にする筋トレ・ストレッチ方法
スクワット:大腿四頭筋・大殿筋を同時に鍛える基本種目になります。
ヒップスラスト・ブリッジ:大殿筋を狙って強化できます。
ステップアップ・ランジ:股関節と膝を連動させて実生活動作に近いトレーニングができます。
内転筋ボール挟み:下部体幹の安定を促す簡単なエクササイズです。
足首の背屈ストレッチ:足首の可動域を広げて、前方への重心移動をスムーズにできます。
「どっこいしょ」発声:発声による腹部の安定で動作負担を減らす工夫となります。
立ち上がり動作と日常生活の関わり
立ち上がり動作はただの「日常動作」ではなく、健康寿命や自立度の指標になる行動です。
スムーズに立てる身体を保つことは、転倒リスク軽減や寝たきり防止、運動への前向きな気持ちにもつながります 。
高齢になると特に、腸腰筋や内側広筋の筋力低下が目立ち、バランスを崩しやすくなるため、定期的なチェックとケアが重要です 。
まとめ:毎日の立ち上がりをラクにするために意識すべきこと
主要筋の強化:大腿四頭筋(内側広筋・大腿直筋)、大殿筋、前脛骨筋など。
動作ごとの筋活動理解:力を効果的に配分する意識が動作効率を上げる。
姿勢とインナーマッスルの活用:骨盤・体幹の安定が基盤。
アクセント要素も取り入れる:「どっこいしょ」で体幹安定+心理的サポート。
日々の立ち上がりを少しずつ楽にすることで、動きやすい身体と充実した生活が手に入ります。
ぜひ、できるところから取り入れてみてください!

