「土踏まずが低い」「歩くと足の裏が疲れる」「足首・膝・腰に違和感がある」── こうした症状で「扁平足」と診断されたり、自分でそう思う方は多いでしょう。

扁平足は放置すると痛みや歩き方の悪化、他の関節への負担を引き起こすことがあります。しかし、適切な運動(トレーニング)と生活習慣の改善で、多くの場合その症状を軽減したり、アーチ機能を回復させることが可能です。

この記事では、扁平足とは何か、なぜ起こるのかを解説した上で、自宅やジムでできる運動・トレーニング法、日常生活で心がけたいポイントをまとめます。

扁平足で悩んでいる方、予防したい方の参考になれば幸いです。

 

扁平足とは何か?種類と仕組み

土踏まず(アーチ)の役割

足には「内側縦アーチ」「外側縦アーチ」「横アーチ」の3つのアーチがあります。これらがクッションの役割をし、体重を支える・歩行時の衝撃を吸収するなど重要な機能を持っています。

正しいアーチがあることで、足首から膝、股関節、腰までの動きがスムーズになります。アーチ低下はそこに負荷をかけ、運動連鎖(足→下腿→膝→股関節→骨盤)で様々な不調を引き起こします。

 

扁平足とは

扁平足は、内側縦アーチが低下または消失し、「土踏まず」が地面に近づくか、地面に接している状態。

乳幼児期には多く見られますが、成長とともにアーチが発達していくのが普通です。成人になってから発生するタイプは“成人期扁平足”とも呼ばれ、靭帯や腱、筋力の低下、体重増加などが原因になることがあります。

 

種類

柔らかい扁平足(可動性扁平足/柔軟性扁平足):足を浮かせたり指先立ちをしたりするとアーチが一時的に現れるタイプ。運動・筋力強化で改善の見込みが比較的高い。

硬い/剛性扁平足(構造的・骨性扁平足):骨格の変形などによってアーチが持続的に低下しており、柔軟性が少ない。運動だけでの改善は難しいことも。専門的治療・装具・手術なども検討される。

 

扁平足の原因とリスク

原因

遺伝的要素:生まれつきアーチが浅い人がいる。

筋力・腱機能の低下:後脛骨筋(こつけいこつきん)など、アーチを支える筋肉が弱くなるとアーチが落ちる。

靭帯の弛緩や損傷:靭帯が緩む・損ずるとアーチの支えが弱くなる。

過度な体重、肥満:足にかかる負荷が増えてアーチが潰れやすくなる。

不適切な履物や歩き方:靴が合っていない・クッション性が低い/ソールが硬すぎるなど。歩行パターンが悪いと内側に倒れこむ過剰回内が起こる。

加齢や変性:年齢を重ねて後脛骨筋などの腱や靭帯が弱ったり損傷したりする。

 

リスク・起こりうる症状

足裏や足首の痛み、疲れやすさ。

膝・股関節・腰への負担増加:アーチの崩れで歩き方が崩れ、脚や骨盤へのストレスが伝わる。

外反母趾や扁平足による足指の変形。

歩行・バランス能力の低下。

スポーツ障害:特にランニングや跳躍を伴う運動で、足底腱膜炎、脛骨過労、関節の痛みなどが出やすい。

 

扁平足のチェック方法

自己チェックできる方法と、専門家によるチェックポイントを紹介します。

自己チェック

チェック方法 やり方 チェックすべきポイント

 

足を濡らして濡れ足跡を見る:水をつけて立って、足跡を見る。土踏まずの部分がほぼ全体にくっついていればアーチが低い可能性あり

片足立ちをしてみる:安定性・バランスの確認。ふらつきや痛みがあるかどうか

アーチドロップチェック(立ってからつま先立ち): つま先立ちしたときアーチが出るか。柔らかいタイプならアーチが見えることがある

 

専門家チェック

  • 靴のすり減り方(内側のかかと部が摩耗していることが多い)
  • 歩行・ランニングのフォーム分析(過剰回内など)
  • 足底圧分布測定(足裏がどこに重さがかかっているか)
  • 筋力・可動域の検査:後脛骨筋の機能、足首の背屈・底屈、指の力など。

 

運動で扁平足はどこまで改善するか

改善の可能性

柔らかい扁平足の場合、継続的にアーチを支える筋力を鍛えたり、歩き方・靴を見直すことでアーチがある程度回復するケースが多い。

大人では完全に元のようなアーチに戻すのは難しいケースもあるが、痛みの軽減・疲れにくさ・歩行の安定性の向上は十分期待できる。

 

改善までの時間

個人差が大きい(年齢、柔軟性、日常活動量、トレーニングの頻度など)

通常、数週間〜数ヶ月の継続が必要。特に毎日の運動、小さな負荷でも続けることが重要。

 

おすすめトレーニング/ストレッチ7選

以下、自宅でできる、器具もあまり必要としない方法を中心に紹介します。フォームを丁寧に行うことが効果を左右します。

 

カーフレイズ(踵上げ)

足を肩幅に開いて立ち、ゆっくりと踵を上げてつま先立ち → ゆっくり戻す 10〜15回 × 2〜3セット、1日おきから始め、慣れたら毎日 アーチを支えるふくらはぎ筋&後脛骨筋の強化。バランス感覚も向上。

アーチレイズ(フットドーミング/Short Foot Exercise)

床に立った状態で、かかと・指は床につけたまま内側の縦アーチを持ち上げるように意識する → 数秒キープ 5〜10秒 × 10回 × 朝晩など毎日 アーチ支持筋群を直接使い、アーチの形を保持する感覚を養う。

タオル・トゥーカール(Towel Curls/タオルを指で手繰る)

座って足の下にタオルを敷き、指でタオルを掴んで手繰る 両足それぞれ2〜3分、1日1回または2回 足指・足底の小さな筋肉を使うことでアーチの土台を鍛える。

足指上げ・足指下げ運動

立位や座位で、まず親指だけを床に押し付け残りの指を上げる → 逆も行う 各方向5〜10回 × 数セット 指の動きとアーチの連動性を改善。バランス感覚や足指の制御向上。

ゴルフボール・テニスボールローリング

床にボールを置き、足底で転がす(アーチの下部をほぐす) 両足2〜3分ずつ、1日1〜2回 筋膜の硬さをとり、血流促進して痛み・突っ張り感を軽減。

足首背屈ストレッチ/ふくらはぎ伸ばし

壁などに手をついて片足を後ろに引き、踵を床につけてふくらはぎを伸ばす 30秒 × 2〜3回/足。1日数回 アキレス腱およびふくらはぎの柔軟性を上げて、歩きやすさを改善。

片足立ちバランス練習

安定した床で片足立ちをする。慣れたら目を閉じたり、不安定なマットの上で行う 各足30秒~1分 × 2セット、毎日または隔日 足部・足首の微細筋の協調性が上がり、バランスの改善。

 

組み合わせと進め方のポイント

最初は「フォーム重視」で。動きが雑だと目的筋に効かない。

少しずつ負荷を上げる(回数を増やす・秒数を長く・不安定な場所で行うなど)

運動とストレッチをセットで行うと効果が出やすい。筋を使う運動 → 柔軟性を戻すストレッチ。

継続が鍵:週3〜5回を目標に、ある程度は習慣化すること。

 

日常生活で取り入れたい習慣・サポート

運動だけでなく、生活の中で扁平足を悪化させない・改善を助ける習慣も大切です。

靴選びを見直す

アーチサポート付き、かかとがしっかりフィットする、ソールが適度なクッション性を持つ靴を選ぶ。幅が広すぎたり滑りやすい靴は避ける。

5本指靴下・足指を使う意識を持つ

靴下が指を圧迫しないものを使ったり、足指を意識する習慣を持つと、足底筋や指の筋力アップに繋がる。

歩き方・立ち方の見直し

かかと→足裏中央→つま先の順で着地するよう意識する。過剰な回内(足が内側に倒れること)を避ける。立っているときは足の重心を均等に分ける。

体重管理・栄養

過重は足に負担をかけやすいので、適正体重を維持する。タンパク質・ミネラル・ビタミンなど、筋肉・腱を健康に保つ栄養も重要。

インソールやオーソティックの利用

市販のアーチサポートインソールや、必要なら専門家によるカスタムオーソティックを利用することで、運動の効果を上げたり痛みを軽減できる。

裸足歩行や足裏を意識する運動

家の中など安全な場所で少し裸足で歩いてみる。柔らかい床や草・砂など、変化のある地面を歩くと良い。刺激が足底の感覚を高め、足底筋の活動を促す。

 

注意点と専門家に相談すべきタイミング

運動・習慣改善だけではすできないケースもあります。以下のような場合は整形外科医・理学療法士など専門家に相談を。

運動を始めても数週間〜数ヶ月経っても痛み・症状が改善しない

足首・膝・股関節などに強い痛みがあり、歩行が困難・腫れがある

硬い扁平足(剛性扁平足)が疑われる:骨の変形がある、アーチが全く変化しない

成長期の子どもで足の左右差が大きい・歩き方がおかしい・疲れやすいなどの症状が強い

専門的な診断には、画像診断・歩行分析・足底圧測定などを行う医療機関やリハビリ施設が有効です。

まとめ

扁平足は「改善できないもの」と決めつけがちですが、柔軟性のあるタイプや軽度のケースであれば、運動+生活習慣の改善でかなりの改善が期待できます。

重要なのは「継続」「正しいやり方」「全身のバランス・歩き方も含めたアプローチ」です。

まずは簡単なトレーニング(踵上げ・タオルカール・アーチレイズなど)を日常に取り入れてみてください。もし痛みや違和感が増すようであれば、無理せず専門家の指導を仰ぎましょう。

 

足指の筋トレについては、下記記事にも記載しています。

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ABOUT ME
たろ
【資格】理学療法士(15年)、介護職員初任者研修、福祉住環境コーディネーター2級、認知症ライフパートナー 【職歴】大手工場、急性期・回復期病院、デイサービス、老健(非常勤)、訪問リハビリ(非常勤) 【講師実績】イオンにて介護予防の相談会、介護予防対象者向け体操講義、介護福祉士向けの介護講義