高齢者や身体が不自由な方にシーティングを行う際には、車椅子の選定が重要です。
今回はその車椅子のなかでも、リクライニング車椅子とティルト車椅子の違いとそれぞれの特徴をご紹介します。
Contents
リクライニング車椅子とティルト車椅子の特徴
リクライニング車椅子とは?
リクライニング車椅子とは、バックレスト(背もたれ部分)を起こしたり倒したりして角度を調節することが出来る車椅子です。
可動する角度はリクライニング車椅子の種類によって多少異なりますが、バックレストを90°~170°近くまで倒すことが出来るリクライニング車椅子もあります。(角度は180°に近づくほど水平)
リクライニング車椅子のバックレストは通常の車椅子より高さがあり、しっかりともたれることが出来ます。(頭まで支えられる)
またフットレスト(足置き台)の位置も簡単に角度をつけて調節することが出来るので、拘縮などで下肢が曲がらない人でも座れます。
リクライニング車椅子の対象者は?
リクライニング車椅子の対象者は、以下になります。
- 自分で座位を保持出来ない人
- バイタルサインが不安定な人
- 意識レベルが低い人
- 腰などに痛みが強い人
- 拘縮が強い人
- めまいが強い人
- 頭部が後屈する人
リクライニング車椅子の特徴は、バックレストの角度を調節することにあるのですが、車椅子に座りながらすぐに寝ている姿勢に移行出来ることは最大のメリットでもあります。
ティルト車椅子とは?
ティルト車椅子とは、シート(座面)の角度を調節出来る車椅子です。
可動する角度は、0°~30°程度のものが多いようです。(角度は0°に近づくほど水平)
ティルト車椅子には、ヘッドレスト(頭置き台)がついていることが多いです。
ティルト車椅子の対象者は?
ティルト車椅子の対象者には、
- 体幹が前に傾く人
- 骨盤が前方へズレる人
- 腰などに痛みが強い人
- 円背の人
ティルト車椅子の特徴は、シートの角度を調節してバックレストのほう(後方)に重心を促せることです。
リクライニング車椅子とティルト車椅子の違い
リクライニング車椅子とティルト車椅子の違いは、リクライニング車椅子はバックレストの角度を調節出来るのに対して、ティルト車椅子はシートの角度を調節出来るところです。
リクライニング車椅子は背臥位で寝ている状態に限りなく近づけることが出来ますが、ティルト車椅子は座っている姿勢には変わりありません。
他に違いは、リクライニング車椅子はフットレストの位置を角度調節することで下肢を伸ばして座れますが、ティルト車椅子ではフットレストの角度調節は出来ません。
このようにリクライニング車椅子とティルト車椅子の違いはありますが、介護・医療の現場ではリクライニング機能とティルト機能がセットになった車椅子をよく見かけます。いわゆるリクライニング・ティルト車椅子です。
リクライニングとティルトのそれぞれの特徴や機能を、しっかりと理解して使い分けていきましょう。