ポジショニング

下肢伸展拘縮のケースのポジショニング方法

下肢(股関節・膝関節)の伸展拘縮は屈曲拘縮のケースに比べて、臥位時の下肢の下の空間は少なく接触面も多いですが、そのまま放っておくとやはりますます拘縮が進んでしまいます。

股関節・膝関節屈曲拘縮のケースのポジショニング方法 介護の現場では、股関節や膝関節が曲がっている高齢者の方がよくいます。 ...

今回は下肢伸展拘縮のケースのポジショニング方法についてをご紹介します。

伸展拘縮とは?

伸展拘縮とは、関節が伸展(伸びた)したまま曲がらない状態のことを言います。

下肢に伸展拘縮があるケースでは、リクライニング型車椅子を使用しないと坐位がとれない場合が多いです。

 

下肢伸展拘縮のケースのポジショニング方法

下肢伸展拘縮のケースでは、可能な範囲で下肢の屈曲位をつくるようにポジショニングを行います。

また、仙骨や踵部の圧を分散させる必要があります。

 

ポジショニングのコツ!

下肢伸展拘縮のケースのポジショニングのポイントをご紹介します。

 

骨盤を後傾させる

人間の身体の動きには運動連鎖というものがあり、ひとつの関節を動かすとその隣接している関節にも影響を及ぼします。

骨盤を後傾させることで、下肢は屈曲方向に動きやすくなります。

クッションを骨盤下部までしっかり差し込むことで、骨盤を後傾させ大腿部を支持します。
そうすることで仙骨部の除圧にも繋がります。

 

股関節を外旋させる

骨盤後傾と同様に、股関節を外旋させることでも下肢は屈曲方向に動きやすくなります。

股関節が外旋しやすいように、クッションで下肢の内側から外側にむけて下り坂(傾斜)をつくります。

そうすることで重力の関係上、下肢は外側に転がり股関節は外旋しやすくなります。

 

大腿部と下腿部で支える

下肢の伸展拘縮があるケースでは、仙骨部の除圧のために大腿部の下にクッションを入れても下腿部の下に空間が出来ますし、踵部の除圧のために下腿部の下にクッションを入れても大腿部の下に空間が出来ます。

そのため、下肢伸展拘縮のケースでも大腿部と下腿部それぞれにクッションなどを入れて支えることが大切です。

 

ダメなポジショニング!

ここでは下肢伸展拘縮のケースのよくあるダメなポジショニングをご紹介します。

 

股関節が内旋・内転している

股関節が内旋・内転位になっていると、膝関節は伸展方向に動きやすくなってしまいます。
そうなると、伸展拘縮を助長して膝関節は過伸展(反りかえる)にまでなってしまうことがあります。

また、このような肢位が長時間続いてしまうと内転拘縮にもなってしまいます。

 

下腿部のみで支えている

踵部の圧を取り除くために、下腿部のみにクッションなどを入れて下肢を支えてしまっては、膝関節は伸展方向に重力が加わります。

そうなると上記のダメなポジショニング同様に、伸展拘縮は助長され膝関節が過伸展にまでなってしまう可能性があります。

さらに下腿部のみの支えでは、仙骨部に圧がかかりやすく、褥瘡が発生しやすくなってしまいます。

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たろ
【資格】理学療法士(12年)、ホームヘルパー2級、福祉住環境コーディネーター2級、認知症ライフパートナー 【職歴】大手工場、急性期・回復期病院、デイサービス、特養、老健(非常勤)、訪問リハビリ(非常勤) 【講師実績】イオンにて介護予防の相談会、介護予防対象者向け体操講義、介護福祉士向けの介護講義

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