体位変換では背臥位・左右の側臥位の肢位を順番に行うのが基本ですが、対象者によっては側臥位でなく半側臥位が良い場合があります。
今回はこの半側臥位についてご紹介します。
半側臥位とは
背臥位と側臥位の中間(ベッドに対しての身体の傾きが30°~45°くらい)の肢位です。
左半側臥位と右半側臥位があります。
自分で身体を動かせない人は、半側臥位の肢位で保持することは困難であるため、ナーセントパットやクッションなどを使用してその角度を保持することが一般的です。
健常者の方でもクッションなどで保持しなければ、半側臥位のまま寝るのは難しいですし疲れます。そのため健常者の方は、寝ているときに寝返りをうっても半側臥位になることはほとんどありません。
半側臥位のポジショニングのメリット
半側臥位のメリットは、褥瘡好発部位への圧力を分散して褥瘡の発生を予防しやすいところにあります。
側臥位では、下側になっている腸骨部や大転子部に圧力がかかりやすくなります。しかし、半側臥位では骨盤が斜めに傾いているので下側の腸骨部や大転子部への圧力を分散しやすくなります。
他にも側臥位の褥瘡好発部位である耳介部(耳)・肩峰(肩の外側の出っ張り)・肋骨部・膝関節顆部(膝の外側の出っ張り)・外果部(外くるぶし)も同様に側臥位ではまともに圧力がかかりますが、半側臥位では圧力を分散しやすくなります。
半側臥位のポジショニングのデメリット
半側臥位のポジショニングのデメリットは、接触面積が狭く安定感が悪くなるだけでなく身体に「ねじれ」が起こりやすいところです。
半側臥位を良好に保持するには、クッションなどが絶対に必要なのですが、このクッションが不十分であれば筋緊張が高くなったり褥瘡の発生を助長してしまう可能性もあります。
例えば仙骨部の除圧をするために骨盤にナーセントパットを入れて、半側臥位にしようとした場合、
骨盤は半側臥位を保持できますが、上半身は背臥位の方向へ戻ろうとするため「ねじれ」が起こってしまいます。
また、骨盤へのナーセントパットを入れるのみでは背臥位や側臥位に比べて接触面積が非常に少なくなります。
つまり、半側臥位のポジショニングを行う際には部分的にクッションなどを入れるのではなく、身体全体で半側臥位になれるように頭部・上半身・下半身にそれぞれクッションなどを入れて角度をつ、「ねじれ」や接触面積の減少を防ぐ必要があります。
おわりに
体位変換で半側臥位を取り入れている病院や施設は多いです。
半側臥位は骨突出部の除圧を行う上で非常に有用ではありますが、間違ったクッションの当て方をするとかえって対象者の身体を悪くしてしまうこともあるので注意が必要です。
また、半側臥位は身体を斜めに保持するため、他の肢位に比べて身体がずれやすくなるのでしっかりと確認する必要があります。