病院や福祉施設などでは、「体位交換(たいいこうかん)」が必要な患者さんや利用者さんがいます。
体位交換は、全ての人に行わなければならないことではありません。
どんな人に体位交換が必要なのか?
体位交換が必要な理由とは?
効率の良い体位交換とは?
体位交換とは?
体位交換とは、怪我や病気などによって自力で寝返りがうてない人や除圧が出来ない人に対して、介護者が他動的に身体の向きを変えることです。
体位交換は略して「体交(たいこう)」と呼ばれていたり、「体位変換(たいいへんかん)」とも呼ばれています。
体位交換が必要な理由とは?
自力で身体を動かせない人は、身体の同一部位に圧力がかかり圧迫された状態になってしまいます。
その圧迫が長時間続いてしまえば、その部位の血流は悪くなり、褥瘡が発生しやすくなります。
体位交換はこの褥瘡発生の予防や褥瘡の治癒を目的に、行う必要があります。
体位交換を行う時間間隔は?
体位交換は一度行えば良いというわけではなく、継続的に何度も行う必要があります。
体位交換を行う時間間隔は、基本的には2時間以内になります。
基本的に2時間を超えない範囲で行います(注2)。ただし褥瘡予防マット(体圧分散寝具)の種類や骨の突き出し具合によって個人差はあります。粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレスなどを使用する場合、体位変換の間隔は4時間を超えない範囲で行ってもよいとされています(注3)。
注2:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ9.1(推奨度C1)
注3:褥瘡予防・管理ガイドライン第3版CQ9.2(推奨度C1)
出典元:褥瘡の予防について|一般社団法人日本褥瘡学会
体位交換を行う時間間隔は、基本的には2時間以内とされていますが、体圧分散寝具などを使用してしっかりと除圧出来る場合には4時間以内にまで間隔を延長することが出来るとされています。
それらの時間間隔以下の頻繁な体位交換は、ズレによる摩擦力が加わりかえって褥瘡が発生しやすくなる場合があります。
また人員の不足しがちな介護職員の業務が増えてしまっては、時間に追われ「介護の質」が落ちてしまう可能性があります。
体位交換のマイナーチェンジとは?
「マイナーチェンジ」とは、身体全体の向きを変えるのではなく、顔や手などの身体の一部分のみを動かすことを言います。
マイナーチェンジのメリットは、部分的に骨突出部などの圧迫が強い場所を効率良く除圧出来るところと、身体全体の体位交換に比べ簡易的で時間短縮にもなるので介護業務の効率にも繋がります。