片麻痺や片側下肢に骨折などの怪我をしている方の場合、杖を持つ側や下肢を出す順番は決まっています。
しかし、階段昇降動作と同じく、跨ぎ動作をする際には、平地歩行とはまた異なる順番で下肢を出す必要があります。
今回は、片麻痺患者が浴槽跨ぎ動作をするときの下肢を出す順番とその理由についてご紹介していきたいと思います。
片麻痺患者の浴槽跨ぎ動作で下肢を出す順番
片麻痺患者が立ったまま浴槽の跨ぎ動作を行う際には、安全のため縦手すりを設置しておきたいところです。
縦手すりを持ったうえで、横向きに一歩ずつ浴槽を跨いでいくのが基本となります。
浴槽に入る際の跨ぎ動作の下肢を出す順番は、
- 非麻痺側(健側)
- 麻痺側(患側)
になります。
浴槽から出る際の跨ぎ動作の下肢を出す順番は、
- 麻痺側(患側)
- 非麻痺側(健側)
非麻痺側下肢から浴槽を跨いで出る方法もありますが、浴槽に入る際に非麻痺側下肢から跨ぐために、浴槽から出る際に非麻痺側下肢から跨ぐには足場が悪い浴槽内でぐるっと方向転換をしなければいけません。そのため、手すりがしっかり設置されていなければ転倒リスクが高くなります。
座位の浴槽跨ぎ動作
立位で跨ぎ動作が不安定な場合には、座って跨ぐ方法もあります。その際には、バスボードやシャワーチェアなどを使用します。
座位で浴槽を跨ぐときの下肢を出す順番は、立位時と同じく入るときは非麻痺側下肢から出るときは麻痺側下肢からが基本となります。
非麻痺側下肢から浴槽を跨ぐ理由
浴槽に非麻痺側下肢から跨いで入る理由には、いくつかあります。
麻痺側下肢から跨いで入ってしまうと、下記のような事故に合うリスクが高くなります。
- やけどをする
- 浴槽内で滑る
片麻痺患者の麻痺側は運動麻痺だけでなく、感覚も麻痺してしまっている場合があります。
感覚が麻痺していたり鈍くなっている下肢から浴槽に入ると、浴槽内のお湯の温度が熱くても気づかずに、ひどい場合にはやけどをしてしまいます。
浴槽内は非常に滑りやすいため、不安定な麻痺側下肢から浴槽に入れば身体を支えることが出来ないため、転倒リスクが高くなります。
また、麻痺側下肢から跨いでしまうと麻痺側に重心を移動しにくいため、次に跨ぐ非麻痺側下肢が振り上げにくくなることもあります。
これらの理由から、健常な非麻痺側下肢から浴槽を跨ぐほうが良いとされています。
おわりに
浴槽に入る際には非麻痺側下肢から、出る際には麻痺側下肢からを基本に考えておきます。
しかし、浴槽や手すりの配置によってはそれが困難な場合があるので、対象者の身体能力を見ながら、より安全性の高い方法を考えていく必要があります。