中枢神経や末梢神経の障害の評価として、腱反射を行うことがあります。
腱反射を調べるために、必需品になるのが打腱器という器具です。
理学療法士になる前の学生の頃には、この打腱器を使う機会が多いですが、免許を取得して臨床に出ると打腱器を使う頻度は減少します。(勤務場所にもよりますが)
そのため久々に打腱器を使用したが、うまく反射を出すことが出来ないという人もいます。
今回は打腱器の叩き方のコツを検査者と被検者に分けて、それぞれご紹介していきます。
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打腱器とは
深部腱反射の評価を行うときに使用する器具です。打診器と呼ばれることもあります。
打腱器を使った検査を行うことで、錘体路の障害や末梢神経の障害などを確認出来る場合もあります。
多くは叩く部分が黒いゴム製で、柄の部分が金属または真鍮(しんちゅう)という銅と亜鉛の合金で作られています。
価格は、数百円から数千円、高いもので数万円の打腱器もあるようです。
打腱器によっては柄の下方を外すことができ、その内部に痛覚針や触覚ブラシがついているものがあります。
打腱器の叩き方のコツ(検査者)
打腱器は力を入れて叩くものではありません。検査する側も力を抜いて叩く必要があります。
母指と示指(人差し指)で掴む
打鍵器の握り方は5指でしっかりと握るのではなく、母指と示指で軽く掴むように持ちます。
持つ位置は写真の打腱器でいうと、真ん中からやや下方にある5本の斜線が入っているところです。
力を入れずに叩く
叩くときには母指と示指で掴んだところを支点にして打腱器を動かすイメージです。
支点を中心に手首を軽く動かして打腱器を回転させるように叩きます。
叩く際に肩や肘、手首が動き過ぎていると力が入ってしまっている可能性があります。
検査する人に力が入っていると、検査される人も力が入ってしまいます。
垂直に叩く
打腱器を使う際には、腱に対して垂直に叩くようにします。
斜めから叩いてしまうと腱に当てにくく、反射が起こりずらくなってしまいます。
腱の上に母指を当てておく
打腱器で直接腱を叩くのではなく、腱の上に母指を当てておき、その母指を叩くようにします。
母指を当てることで、患者の恐怖心や痛みが軽減しますし、腱を触診する習慣にも繋がります。
打腱器の叩き方のコツ(被検者)
検査される人に力が入っていると、反射が出にくくなってしまいます。
どうしても反射が出にくい場合には、ある方法を使います。
力を抜いてもらう
腱反射の検査を行う際には、被検者に力が入っていると反射が起きにくいです。
そのため、リラックスさせて余計な緊張を取り除いておく必要があります。
軽く叩くといえど、初めて検査を受ける人は緊張してしまい無意識に力が入ってしまうことがあるので、しっかり力が抜けているか確認する必要があります。
イエンドラシック法を利用する
うまく反射を出せずに反射が低下していたり消失している人には、イエンドラシック(Jendrassik)法を利用すると反射が出現する場合があります。
イエンドラシック法は、被検者に両手を組んでもらい、その両手を互いに引っ張り合うように力を入れてもらう方法です。
このように被検者に力を入れてもらっている間に、腱反射の検査を行います。
ジェンドクラシック法とも呼ばれています。