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医療知識

理想の睡眠時間とは?年齢別にチェックしてみよう!

睡眠時間は、人の健康に大きく関わっています。睡眠時間が少なすぎても多すぎても、健康に良くないと言われています。

では、実際どのくらい睡眠をとると良いのでしょうか。

あまり寝なくても大丈夫な人、寝たいけど忙しくて時間がない人、いくら寝ても寝たりない人。人によって睡眠時間はバラバラですが、実は理想とされている睡眠時間があります。

今回は、その理想の睡眠時間についてご紹介していきます。

私達人間は健康な生活を送る上で、食事や運動と同じくらい睡眠は欠かせないものです。

睡眠は簡単に言えば、『眠る』ことです。難しく言えば、『意識を喪失した生理的な状態』です。

人は基本的には夜に眠り、朝や昼は活動的になっています。睡眠をとることで、身体の休息や成長の促進、怪我や病気の治癒の促進にもなります。

睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠という状態が反復しています。レム睡眠は『浅い眠り』、ノンレム睡眠は『深い眠り』です。夢はレム睡眠のときに見ていることがほとんどです。

理想の睡眠時間とは何か?

理想の睡眠時間に関する基本概念

理想の睡眠時間は、年齢や生活習慣、個人の体質によって異なるため、一律には決められません。ただし、一般的な目安として、成人であれば1日7〜8時間が推奨されています。

アメリカの大規模調査によると、7時間の睡眠をとる人が最も死亡率が低いとされています。そのため、適切な睡眠時間を確保することが長寿や生活の質を高めるカギとなります。

なぜ人によって必要な睡眠時間が異なるのか

睡眠時間が個人ごとに異なるのは、体質や遺伝的な要因、日々の活動量、そしてライフステージの違いが影響しているためです。若年層や成長期の子どもは、心身の成長や学習能力の向上に多くの睡眠が必要です。

一方、高齢者は活動量や基礎代謝の低下に伴い、睡眠時間が短くなる傾向があります。また、個々の体内時計や睡眠の質も大きく関係しています。そのため、自分に合った理想の睡眠時間を見つけることが重要です。

睡眠不足や長時間睡眠のリスク

睡眠不足や逆に過剰な睡眠時間はいずれも健康に悪影響を及ぼします。慢性的な睡眠不足は、集中力や免疫力の低下を招くだけでなく、糖尿病や高血圧、認知症などのリスクを高めるとされています。

また、8時間以上の過剰な睡眠も体への負荷をかけることがあり、特に長時間の睡眠を繰り返す人は死亡リスクが上昇するという研究結果があります。そのため、自身の年齢や生活に合わせた適度な睡眠時間を守ることが大切です。

子どもの理想的な睡眠時間

新生児から乳幼児(0〜3歳)の理想の睡眠時間

新生児から乳幼児期(0〜3歳)の子どもには、成長過程において十分な睡眠が欠かせません。この時期、最も多くの睡眠時間が必要とされ、生後3ヶ月までは1日に14〜17時間、4ヶ月から11ヶ月までは12〜15時間、そして1歳から3歳までは11〜14時間が理想とされています。

脳の発達や身体の成長が著しいこの期間、適切な睡眠時間を確保することが免疫機能の向上や感覚機能の発達にも繋がります。親として睡眠リズムを習慣づけることが、子どもの健やかな成長に大きく寄与します。

幼児(4〜6歳)の適切な睡眠時間

幼児期(4〜6歳)では、徐々に活動時間が延びる一方で、睡眠時間も次第に必要量が変化していきます。この年齢層では、1日に10〜13時間程度の睡眠が理想的とされています。

この時期には身体的な発達がピークを迎えるだけでなく、記憶の定着や感情をコントロールする能力が発達していきます。そのため、規則的な生活リズムを維持し、日中の活動と夜間の睡眠のバランスを保つことが重要です。特に、就寝前の過剰な光刺激を避けることが効果的です。

学齢期の子ども(7〜12歳)の睡眠パターン

学齢期の子ども(7〜12歳)には、1日に9〜12時間の睡眠が推奨されています。この時期では、学校生活や学習活動が中心となり、心身ともに多くのエネルギーを消耗します。そのため、十分な睡眠時間を確保することは集中力の向上や健康維持に不可欠です。

特に、小学生の時期に適切な睡眠リズムを整えることは、思春期以降の生活習慣にも良い影響を与えるとされています。睡眠不足が続くと、学業成績の低下や情緒の乱れにも繋がるため、家庭での穏やかな就寝環境作りが求められます。

思春期(13〜18歳)の睡眠の重要性

思春期(13〜18歳)になると、個人差はありますが、必要な睡眠時間は約8〜10時間と言われています。この時期は、成長ホルモンの分泌が活発になるほか、脳の発達やホルモンバランスの変化が見られるため、十分な睡眠が不可欠です。

しかし、現代の中高生は学業や部活動、さらにはスマートフォンの利用などにより十分な睡眠時間を確保できない傾向にあります。内閣府の調査では、中高生の平均睡眠時間は7時間未満であることが示されており、これが集中力や成績の低下、さらには情緒不安定を引き起こすリスクがあります。家族の協力で規則正しい生活リズムを作り、理想の睡眠時間を意識することが重要です。

成人の理想的な睡眠時間

20代〜40代の理想の睡眠時間とは

20代から40代において、理想的な睡眠時間は一般的に7〜8時間とされています。この年齢層は仕事や家庭の責任が増え、多忙な生活を送ることが多いため、睡眠時間が不足しがちです。

一方、各個人の生活習慣や体質によって適切な睡眠時間は若干異なる場合がありますが、統計的には毎日7時間程度の睡眠を取ることが健康維持に最も理想的だとされています。また、アメリカの研究では、7時間睡眠の人々が最も長寿だというデータもあります。

睡眠時間が与える仕事や健康への影響

適切な睡眠時間を確保できないことは、仕事や健康に大きな影響を及ぼします。睡眠不足は集中力や記憶力を低下させ、生産性の低下を引き起こします。また、慢性の睡眠不足は、糖尿病や高血圧、心疾患、うつ病などのリスクを高めることが知られています。

逆に睡眠時間が長すぎる場合も、身体のサイクルが乱れ、死亡リスクが上昇する可能性があります。このため、理想的な睡眠時間を維持することが、健康面でも仕事のパフォーマンス面でも重要となります。

適切な睡眠時間確保のための工夫

忙しい毎日の中で適切な睡眠時間を確保するためにはいくつかの工夫が必要です。例えば、毎朝決まった時間に起床し、一定の生活リズムを保つことが大切です。また、寝る前にスマートフォンやパソコンの使用を控えることで、睡眠の質を向上させることができます。

さらに、適度な運動を日中に取り入れることや、夕食後のカフェインやアルコール摂取を控えることも役立ちます。年齢別の理想の睡眠時間に目を向けながら日々の習慣を見直すと、健康的な睡眠を取り戻せるでしょう。

高齢者の理想的な睡眠時間

高齢者の睡眠時間が短くなる理由

高齢になると、睡眠時間が以前より短くなる傾向が見られます。これは加齢に伴う体内時計の変化やホルモン分泌の減少が影響しています。例えば、若年層では睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌が夜間に活発になりますが、高齢者ではこの分泌量が減少するため、眠りが浅く短くなる場合があります。

また、日中の活動量が減ることで体が十分に疲れず、夜間の睡眠が自然と短くなることも理由の一つです。さらに、加齢とともに発生しやすくなる健康問題や痛み、不快感も夜間の睡眠を妨げる大きな要因です。

健康維持に必要な高齢者の最適な睡眠時間

理想の睡眠時間は個人差がありますが、高齢者の場合、一般的には6〜7時間の睡眠が健康維持に最適とされています。一部の研究では、65歳以上の高齢者にとって6時間程度の睡眠が理想的であると示されています。

この時間は、心身の健康を保つために必要最低限の睡眠であり、それよりも少なかったり、極端に長かったりすると、体調への悪影響が懸念されます。また、寝る時間は短くても、昼間の短時間の昼寝で必要な睡眠量を補うことが効果的とされています。

睡眠の質を向上させる方法とは

高齢者が質の良い睡眠を得るためには、いくつかの工夫が必要です。まず、毎日同じ時間に寝て起きる規則正しい生活リズムを保つことが重要です。また、日中の適度な運動や太陽光を浴びることで体内時計を整えることも効果的です。

夕方以降は、カフェインやアルコールの摂取を控え、就寝前にリラックスできる活動を取り入れるとよいでしょう。さらに、寝室環境を心地よいものに整えることで、睡眠の質が向上します。たとえば、静かで暗い部屋を用意し、適温を保つことが快眠につながります。加えて、睡眠時の中断を防ぐために、持病がある場合は医師に相談し、適切な治療を受けることも欠かせません。

年齢別の睡眠時間を見直すポイント

自分に合った睡眠時間を見つける方法

理想の睡眠時間は個々の年齢やライフスタイル、体質によって異なります。そのため、自分にとって最も効果的な睡眠時間を知ることが重要です。まずは自分の睡眠の質を確認し、適切な睡眠時間を探ることが大切です。

週末などに自然な状態で目覚めるまで眠ってみることで、自分に合った睡眠時間を測定するのも有効です。また、最近のデータでは7時間前後の睡眠が健康や長寿に最適とされていますが、これは目安であり、一人ひとりに合った時間を見つけることが理想です。十分な睡眠時間を確保することで、疲労感の軽減や日中の集中力向上が期待できます。

定期的な生活リズムの必要性

安定した睡眠時間を確保するためには、規則正しい生活リズムを築くことが欠かせません。例えば、毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きる習慣をつけることで、体内時計が整い、睡眠の質が向上します。

また、週末に寝だめをすることはかえって睡眠リズムを乱す原因になるため避けたほうが良いでしょう。さらに、朝日をしっかりと浴びることや決まった時間に食事を摂ることも有効で、こうした習慣は質の高い睡眠を促進します。特に年齢別のライフステージに合った生活リズムを意識することで、理想の睡眠時間を確保しやすくなります。

ライフステージごとの睡眠の振り返り方

年齢によって必要とされる睡眠時間や睡眠の質は異なります。そのため、ライフステージに応じた睡眠習慣の見直しが必要です。たとえば、子どもの頃は8時間以上の睡眠が推奨される一方で、成人は6時間以上、そして高齢者は6時間前後でも十分だと言われています。

各ライフステージでの睡眠の振り返りには、自身の生活スタイルや具体的な体調の変化を見つめ直すことが重要です。また年齢を重ねるにつれて、眠りの質が低下しがちになるため、定期的に睡眠環境や習慣を改善する工夫をすることが必要です。

必要睡眠時間に関する最新の研究動向

近年の研究では、理想の睡眠時間やその健康への効果に関する理解が深まっています。例えば、7時間前後の睡眠が最も健康的な状態を維持しやすいとする調査結果は多くありますが、8時間以上の長時間睡眠が健康リスクを増加させる可能性があるとの報告もあります。

また、子どもや高齢者のようにライフステージごとに必要な睡眠時間が異なる背景には、身体の代謝や脳の発達が関係していることが示されています。さらに、日本においては、平均睡眠時間が短いことが課題視されており、厚生労働省も「睡眠指針2023」のようなガイドライン作成を進めています。こうした最新の知見を活用し、自分に合った睡眠習慣を見直していくことが大切です。

死亡率との相関

各国で睡眠時間と死亡率の相関の研究がされていますが、実際に睡眠時間が7時間の場合では死亡率が最も低いという結果が出ています。

睡眠時間が長い人でも短い人でも7時間の人に比べると死亡しやすいことがわかりました。その程度は、4時間未満(4.4時間まで)の睡眠時間では、男性で1.62倍、女性で1.60倍、また10時間以上(9.5時間以上)の場合には男性で1.73倍、女性で1.92倍となりました。

出典元:睡眠時間と死亡との関係|JACC Study(https://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/reports/tamaa1/index.html)

上記引用文は日本で行われた研究なのですが、その他にも各国で睡眠時間と死亡率の相関のたくさんのデータが発表されています。

各研究を見ていると、やはり『睡眠時間は7時間』が最も良いようです。

睡眠不足が良くない理由

睡眠不足の状態を続けていると、身体に様々な悪影響を及ぼします。

  • ストレス増加
  • 集中力低下
  • 血圧上昇
  • 頭痛
  • 免疫力低下
  • 新陳代謝低下 など

睡眠不足になると病気になりやすいだけでなく、疲労感が残り、仕事や日常生活にも支障を来たします。

また、睡眠不足では集中力が低下し、車などの乗り物の運転中には睡魔に襲われ事故に合う危険も高くなるので注意が必要です。

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たろ
【資格】理学療法士(15年)、介護職員初任者研修、福祉住環境コーディネーター2級、認知症ライフパートナー 【職歴】大手工場、急性期・回復期病院、デイサービス、老健(非常勤)、訪問リハビリ(非常勤) 【講師実績】イオンにて介護予防の相談会、介護予防対象者向け体操講義、介護福祉士向けの介護講義
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