人の健康状態を検査する器具や機械は、たくさんあります。
そのなかでも自分たちで容易に測定できるものと、できないものがあります。
自分たちで容易に測定できるものとして、
- 体温計
- 血圧計
- 体重計 など
があります。そして、その他にはパルスオキシメーターというものがあります。少し前ではコロナウィルスの重症度を判断できるとして、話題になっていた器具です。
この記事では、パルスオキシメーターの基本的な仕組みや使い方、そしてそれが示す数値の見方について詳しく解説します。
また、パルスオキシメーターの測定値をどのように解釈し、どのような注意が必要かについても述べていきますので、ぜひ最後までお読みください。
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パルスオキシメーターとは何か
皮膚を通して動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を測定するための装置です。赤い光の出る装置(プローブ)を指にはさむことで測定します。
出典元:パルスオキシメーターとはどのようなものですか?|日本呼吸器学会
パルスオキシメーターは飽和度を意味するsaturation(サチュレーション)から、『サーチ』とも呼ばれています。
指先だけでなく耳たぶに装着して測定するものもあり、基本的には装着後数秒で結果が表示されます。
パルスオキシメーターの基本的な機能
パルスオキシメーターは、主に指にはめる形で使用される医療機器で、血液中の酸素飽和度(SpO2)を測定するために用いられます。
SpO2とは動脈血酸素飽和度のことを言い、saturation(飽和度)、percutaneous(経皮的)、oxygen(酸素)を意味しています。
この測定には、光の吸収特性を利用しており、赤色光を発するセンサーが血液中の酸素濃度を把握する仕組みになっています。
パルスオキシメーターは、SpO2以外にも心拍数を同時に測定することが可能です。測定された数値に基づいた基準値は、健康状態を評価する上で非常に重要であり、パルスオキシメーターの正常値はおおよそ96~99%とされています。この範囲を逸脱する酸素飽和度が観測された場合には、注意が必要です。
SpO2が低いとどうなる?
SpO2が低いと全身への酸素供給不足となっているので、危険な状態と言えます。
SpO2の値があまりに低いと、酸素不足によって酸素と結合するヘモグロビンが少なくなって血液の赤色の鮮やかさが弱くなり、皮膚や粘膜が青紫色になるチアノーゼが現れることがあります。
出典元:SpO2|キャリタス看護
息苦しさなどの自覚症状を訴える方もいれば、自覚症状を感じない方や感じてもきちんと訴えれない方もいるので注意が必要です。
手指が冷たいと正常に測定出来ないことがよくあります。
どうやってSpo2を測定しているか
パルスオキシメーターはどうやってSpo2を測定しているのか気になったことはありませんか?
パルスオキシメーターは、赤外線と赤色光を利用して血液中の酸素濃度を測定しています。酸素が結合しているヘモグロビンと結合していないヘモグロビンでは、それぞれ異なる光の吸収特性を持っている為、この特性を利用して酸素飽和度を算出することが出来るのです。
医療や在宅での使用
パルスオキシメーターは、医療現場や在宅において幅広く使用されています。病院では、手術室やICUで患者の酸素供給状態を管理するために不可欠な機器として利用されます。
また、呼吸器疾患や心疾患を抱える患者は、家庭でもパルスオキシメーターを活用することで、日々の健康管理に役立てています。
このような在宅医療では、酸素飽和度の正常値を常に確認することができ、異常が見られる場合には早急に医師に相談することが求められます。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大以降、酸素飽和度の測定は、感染者の重症度を判断する指標としても重要性が増しています。このように、パルスオキシメーターは、医療や健康管理において欠かせないツールとなっています。
パルスオキシメーターはどんな人によく使われる?
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
- 気管支喘息
- 肺気腫
- 肺炎
- 心不全
- 狭心症 など
の呼吸器疾患や循環器疾患の方などにパルスオキシメーターをよく使用します。呼吸困難や生命の危機に関わる方には、必ず使用されています。
パルスオキシメーターの正常値とは
一般的な正常値の範囲
パルスオキシメーターを使用して測定される酸素飽和度は、血液中のヘモグロビンと酸素の結合率を表す重要な数値です。日本呼吸器学会によると、酸素飽和度の正常値は通常96%から99%の範囲とされています。
100%という数値は、通常の生体条件下ではあまり見られない状況です。パルスオキシメーターの数値が95%以下の場合は注意が必要で、90%以下になると呼吸不全の懸念があるため、緊急の対応が求められます。正常値の基準は、健康状態を把握する上で非常に重要な目安となります。
測定環境による変動
パルスオキシメーターの測定値は、環境や測定状況によって多少の変動が見られることがあります。
たとえば、測定する場所が十分に暖かくないと血流が低下し、測定値が低く出ることがあります。また、指にマニキュアが塗られている場合や体動がある場合も、測定結果に影響を与えることがあります。
そのため、測定時には手指を安定させた状態で、冷えを防ぎ、できるだけリラックスした状態で行うことが推奨されます。こうした配慮を行うことで、より正確な数値を得ることが可能となります。
異常値の見極め
危険水準のサイン
パルスオキシメーターの測定値は、酸素飽和度の水準を把握するための指標として非常に重要です。
一般的に、パルスオキシメーターの正常値は96~99%とされていますが、特殊な状況や健康状態により数値が変動することがあります。
特に、90%以下の測定値は呼吸不全を示唆しており、緊急対応が必要な危険水準のサインと考えられます。このような値の場合、すぐに医療機関に連絡し専門家の指示を仰ぐことが大切です。基準値を正しく理解し、適切に対処することが、安全な健康管理への第一歩です。
異常値が示す健康状態
異常値を示す酸素飽和度は健康状態に関する重要な情報を表します。例えば、酸素飽和度が95%以下の場合、運動や一時的な体調不良による影響の可能性もありますが、呼吸器疾患や心疾患の存在を示す場合もあります。
さらに、新型コロナウイルス感染症では、93%未満の数値は中等症IIとして取り扱われ、注意が必要です。ただし、酸素飽和度が短時間下がることがあるため、測定結果を過度に恐れることなく、安定した状況での再測定が推奨されます。異常値が続く場合は、専門家と相談して適切な対応を行いましょう。
正しい測定方法
測定時の注意事項
パルスオキシメーターを使用する際には、いくつかの注意事項を守ることが重要です。まず、測定は体が安静な状態の時に行うことをお勧めします。
運動直後や体調が悪いときは、数値が正確に反映されない可能性があります。体温が低いと、末梢血流が減少し、結果が誤差を含む場合がありますので、指先が冷たい時には暖めてから測定することが理想的です。
また、マニキュアやネイルアートは光の透過を妨げ、正しい測定結果を得ることができないことがあるため、可能であれば取り除いておきましょう。測定が終わったら、結果は自己判断でなく、必ず医療専門家に相談してください。
誤差を防ぐテクニック
パルスオキシメーターの測定誤差を防ぐためのテクニックも覚えておくと良いでしょう。まず、手や指が清潔で乾燥していることを確認します。湿気や汚れは数値に影響を与えることがあります。
光を使って酸素飽和度を測定する仕組みであるため、外光や強い照明の影響を軽減するために装置を覆うように手のひらを利用することがあります。
また、測定中は手や指を動かさないように注意し、しばらく動かずにいると安定した結果が得られます。測定者自信もリラックスした状態を保ちましょう。
これらのポイントに留意することで、パルスオキシメーターの基準値や正常値をより正確に得ることが可能になります。
パルスオキシメーターの選び方と注意点
家庭用と医療用の違い
パルスオキシメーターには、家庭用と医療用の2種類が存在します。家庭用のパルスオキシメーターは、主に日常的な健康管理を目的として作られており、簡便に使用できるのが特徴です。
大抵の場合、使用方法も簡単で、指にはさむだけで酸素飽和度や心拍数が表示されます。これに対して、医療用のパルスオキシメーターは、より高精度な測定を可能にし、医療現場での使用に耐えるよう設計されています。
そのため、より多くのセンサを備えていたり、異なる測定モードを持っていたりすることがあります。家庭用でもお手頃な価格で購入できる一方で、数値の見方に注意が必要です。
家庭用機器の精度には限界があるため、得られた測定結果をそのまま深刻に捉えず、異常値が続く場合は専門家に相談することが重要です。
購入時のチェックポイント
パルスオキシメーターを購入する際には、いくつかの重要なチェックポイントがあります。
まず、表示される数値に注目し、酸素飽和度(SpO2)がから95%以下の場合、医療機関への相談が推奨されるため、信頼できる製品を選ぶことが基本です。
大手メーカー製の製品は品質が保証されていることが多いので、安心感があります。
次に、使い方の簡便さも考慮しましょう。説明書が分かりやすいかどうか、また、直感的に操作できるかどうかも大切です。
特に高齢者が使う場合には、ボタンが少なく、見やすいディスプレイを持った製品が望ましいです。
また、測定する部位の適応性や製品のサイズ感も考慮する必要があります。手指用に設計されているものが多いですが、耳たぶや額などに使えるタイプも存在するので、自分のライフスタイルや使用シーンに合ったものを選びましょう。
最後に、製品のレビューや評価をチェックし、実際の使用者の声を参考にすることもおすすめです。長く安心して使うために、耐久性やアフターサポートもしっかり確認してください。
自分に最適なパルスオキシメーターを見つけ、健康管理をする上での強い味方にしましょう。
パルスオキシメーターの値段
パルスオキシメーターは安いものは数千円、高いものは数万円と、様々です。
個人的にはあまり安すぎるものは信用度も低くなるので、おすすめしません。
まとめと安心への第一歩
パルスオキシメーターは、酸素飽和度という重要な数値を簡便に測定することができる便利な機械です。日常的に使用することで健康状態を把握し、必要なケアを考える上で大きな助けとなります。
しかし、測定結果はあくまでひとつの指標であり、数値の見方や使い方を誤らないことが重要です。特に、酸素飽和度が95%以下や90%以下になる場合は、医師と相談し適切な対応を取る必要があります。
各自が自身の正常値を把握し、変動の原因を理解することは、安心につながります。特に高齢者や呼吸器系に疾患がある方は、定期的なモニタリングとともに健康管理を行うことをお勧めします。
健康の第一歩は日々の観察と適切な情報に基づいた行動です。パルスオキシメーターを適切に使用し、安心して日々の生活を続けていくための一助としてください。