手指の屈筋(曲げる筋肉)の緊張が高いと、放っておくと屈曲拘縮(曲がったまま関節が固まる状態)になってしまう可能性があります。
手指の屈曲拘縮になってしまうと、色々な問題が発生してきます。
そのため拘縮になる前から、関節可動域訓練などで手指をしっかりと動かしておく必要があります。
手指の拘縮予防で気になるのが、「手指屈筋の緊張が高い人に手指用のクッションは必要なのか。」というところです。
今回は、手指屈曲拘縮によって起こりうる問題とハンドクッションについてをご紹介していきます。
手指拘縮予防にハンドクッションは必要か?
手指の屈曲拘縮が進むと様々な問題がでてきます。
拘縮をおさえるためにハンドクッションというものを利用する場合がありますが、かえって拘縮が進んでしまうことがあります。
手指屈曲拘縮の問題とは?
手指屈曲拘縮になってしまうと、下記のような問題が発生します。
- 糜爛(びらん・ただれ)
- 白癬(はくせん)
- 潰瘍(糜爛よりも皮膚の損傷が深い)
- においがする
- 痛みが出る
- 爪切りが出来ない
白癬とは、皮膚の感染症です。
白癬は皮膚糸状菌という真菌(カビ)によって生ずる感染症で、皮膚糸状菌によって起こる病気は日本では白癬、黄癬、渦状癬に分類されています。
出典元:白癬|公益社団法人日本皮膚科学会
手指屈曲拘縮になると、握っている手の中や指が重なっている箇所は不衛生になってしまい、汚れや汗などが蓄積して皮膚の病気になりやすいのです。
手指の屈曲拘縮が起こりやすい片麻痺についての記事は、こちらをご参考下さい。
ハンドクッションとは?
ハンドクッションとは、手指の関節拘縮・湿潤予防や手指の保護を目的とした手指用のクッションです。
ハンドクッションの中には4本指の小さい手のような形をしているものがあり、指と指の間にクッションを入れ込んで使用出来るため、体動が結構ある人でもクッションが外れることはありません。
ハンドロールと呼ばれることもあります。
商品によっては、防臭効果のあるクッションもあるようです。
手指屈筋の緊張が高い人にハンドクッションは必要!?
手指屈筋の緊張が高い人にハンドクッションを使用するとかえって握る力が強くなり、関節拘縮を助長してしまう場合があります。
しかしすでに手指の屈曲拘縮が起こっており、手の保護(爪による傷)や清潔を保てないケースでは使用したほうが良い場合が多いです。
またクッションの厚さの分だけ指の関節拘縮の進行を抑えることも出来ます。
おわりに
ハンドクッションは手指の筋緊張や関節拘縮、皮膚の状態などを評価して、
- クッションを使用するか
- 厚めのクッションにするか
- 薄めのガーゼにするか
などを判断していく必要があります。